last resort
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2025年3月9日(土)開催 TRCオンリーライブ:交地ニハ絶ツコトナカレ34 にて頒布開始いたしました。 真・三國無双8 徐庶・法正 ネームレス夢小説 書き下ろし A6文庫/本文276ページ/オンデマンド/箔押しカバー付き
あらすじ
8正史ルートに準じた夢小説となります。 *** 「あんたみたいな若い身空で、日陰ばかりを生きていくこともないだろうよ」 幼いころから賈詡の私兵として育ち、間諜や暗殺の任をこなしてきた夢主は、官渡の戦いののち、荀攸の軍に編入されることになった。 ──賈詡様は、私に普通の娘のような生き方をしてほしいと思っているのかしら。 賈詡の元を離れることに気乗りしない夢主だったが、軍人になりすます任務だと思ってやりすごせばいい、と軽い気持ちで踏み出した。しかし、長く間諜として生きてきた夢主にとって、軍の規律の中で戦うことは、思いのほか難しいことだった。 「俺も、長く人を信じることができずにいました。わずかずつでも心を開き、腹のうちを見せ、背中を預けられるようにならなくては、大事を成すことはできません」 荀攸のもとで軍紀を身につけ、一個隊を任せられるようになったころ、新野の戦いで劉備軍の軍師、徐庶について探るように命じられる。夢主は徐庶が出した書簡を追い、許昌に病床の母親がいることを突き止めた。果たして徐庶は劉備の元を去り、曹操軍に帰順することになる。 病床の徐母の世話を兼ね、夢主に徐庶を監視する任が与えられた。衣食住を共にするうち、夢主がこれまで縁の無かった親心や家庭のぬくもりに触れ、少しずつ価値観が変わっていくことになる。 「もし、あの子がまた劉備様に仕える機が訪れたら、一度でいい、見逃してやっておくれ……」 死の床とこについた徐母が、密かに夢主に託した願い。転機は赤壁の戦いに訪れる。 「風が変わった。……孔明、やはり君はこれを読んでいたのか」 燃えさかる船団が長江の岸壁を赤く染める。夢主は思う。 ──この人の本当の居場所は、やはり劉備軍にあるのかもしれない。 その思いを抱えたまま、徐庶と暮らしていた夢主だったが、劉備が荊州を発って益州に向かうことを知った夢主は、徐庶に言う。 「徐庶殿、出奔するなら今しかありません。劉備が益州へ進軍するそうです。きっと貴方の力が必要になります」 ずっと秘めていた、徐母との約束。 「私に、お母上の願いを叶えさせてはもらえませんか?」 夢主の思いを汲み、徐庶は密かに許昌を出奔するのだった。 時は流れ、定軍山の戦いに従軍した夢主。総大将である夏侯淵を失い、張郃を撤退させるため、殿軍を引き受けた夢主は、劉備軍の軍師、法正と対峙する。 「敵の手に落ちた気分はどうだ」 奮戦虚むなしく法正に敗北した夢主は、麾き下かの助命と引き換えに投降を決意する。許昌から遠く離れた国で暮らし、そこに生きる人々と交わることで、人にはそれぞれの正義の形があり、一様ではないことを知る。徐庶の時と一転、監視される立場になった夢主は、法正の護衛としてそばに置かれることになった。 「戦場はともかく、城内で護衛が必要ですか?」 「ここ益州には、俺に恨みを抱いている者も多い。いつ寝首を掻かれるか分からないもので」 戦場で剣を交えた相手を護衛としてそばに置くなど、いくら人手不足とは言え不用心にすぎる、と夢主は呆れる。 ある時、法正が苦しんで倒れる場面に遭遇した夢主は、看病を通して、徐庶とは違う乱世の生き方を見つめることになる。自分を足蹴にして捕らえた憎き軍師。生き急ぐのなら止めはすまい。法正が死ねば許昌へ帰ることも夢ではない。そう思うのに、つい世話を焼いてしまう。 荊州を守る関羽が、孫権と曹操の連合軍に攻められ、孤立しているという報せが舞い込む。法正は病みつく体を押して軍議に出たあと、夢主に言う。 「荊州に、行ってください。……俺の代わりに」 法正の覚悟を知ればこそ、夢主は法正の願いを受け入れるしかできない。 「かしこまりました、法正様」 夢主は法正の元を離れ、荊州へと急ぎ向かうのであった。 *** 賈詡の腹心として乱世の闇間を渡ってきた夢主が、徐庶、法正ふたりの男と出会ってその生き様に触れ、また寄り添って、生き抜く一生のお話です。是非、見届けてくださると嬉しいです。(honoca)